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渋谷で働く広告会社の社長のブログ

二十歳の頃、広告づくりに取り憑かれ、DDB(米国マジソンアベニューの広告代理店)がつくるフォルクスワーゲン”Beatle"の広告に憧れた。コピーライターの視点、切り口、絵づくり、言葉づくりに、いちいち感動していた。「人を動かせるものは、ぜんぶ広告だ」と思って、あの日から約30年、メディアを問わずコミュニケーションツールを山ほどつくってきた。(実現できず悔やまれた昔の媒体といえば、駅の階段広告と飛行船広告ぐらいだった)。箸袋のデザインから某首相の言葉づくりのお手伝いまでやってきたし、商品開発やお店づくり、CM音楽、地域起こしもやってきた。

 

長年、大手広告代理店のクリエイティブ・パートナーとしても、数多くのクライアントの広告づくりを担当し、マーケティング、宣伝・広報を手がけてきた。時折、国内外の広告賞もいただき、売上貢献、販促支援、ブランド発信、ソーシャルデザインの実績で評価もいただいてきたが、たえず1つの悲しみが去来することがある。

 

ずっと、つきあえない、のだ。

 

大企業であればあるほど、人事も激しい。ご担当が変われば、主義や主張も変わる。また担当代理店の人事異動でも、あっけなく関係が途切れることが起こるのだ。そのたび競合プレゼンになったりして。涙がでるぜ。僕らは中長期で考え、純粋に3年、5年とお付き合いしたいのに、一夜にして彼女がどこかへ引越しまう虚しさを覚えるのだ。

 

業界歴30年を越えて、そろそろ仕事の集大成期間になろうとしている時、僕は絆を大切にできる関係づくりを選ぶことにした。直接な関係で、企業の「稼ぐ支援」「社会評価支援」「社員のモチベーション支援」を永年に渡って担当していきたいと決意した。企業の存在、存続、鮮度の維持・交換も含め、商品やサービスの成長とプロセスをロングタームで共に歩むことが、伴走するアドマンの最高の生きがい、と信じでやまない。ずっとパートナー。晴れの日も雨の日もあるかもしれないけれど、一緒に歩いていける相手様と仕事をしていきたい。そして、その姿を次につなげたい。

肩書きがコピーライターから仕事全体をまとめるクリエイティブ・ディレクターになって久しい。仕事の入口から出口までを微に細に考え、仕上がりのクオリティや世の中の評判を気にする。決して自慢できる仕事じゃない。商品の売れ行きのこと、得意先のこと、予算のこと、スタッフのこと。あれこれジメジメ考える。だから、毛髪弱者になってしまったのかもしれない(泣)。

 

ある時、某企業のビジョンづくりの仕事をやっていた。スタッフに「うちの企業ビジョンはなんですか?」と質問された。「うん?」言葉に詰まった。実に多数のビジョンづくりとかやってきた癖に自社の分析なんて真剣にしたことがなかった。“広告制作という商業活動の一端を担い創造することで、社会や生活者に喜びを与える仕事”。誰のハートも動かない言葉が脳裏を走る。焦る。

 

“難しいことをわかりやすく。わかりやすいことを楽しく”。自分は翻訳家だと思ったことがある。身体の不調に悩む患者さん(企業)に最適な処方を施す医者だと思ったこともある。いや、ターゲットにいちばん分かり合える演技ができる役者だと自負したこともある。Who am I ?
 

 企業ビジョンは、経営指針や行動指針などにも一気通貫できる揺るぎない因子があるとブレにくい。昔、花王さんの社是は「清潔な国民は栄える」というもの。凄い!膝を打つ。戦後から高度成長をしていく時代に、商品づくりの現場から世の中まで引っ張っていける太い言葉だと感心したことがある。

 

で、たどり着いたのは、“アイデアで世の中を動かす。スマイルメーカー。自動車メーカー、アパレルメーカー、医薬メーカーと同じ様に、僕らは広告やコミュニケーションづくりを通して、お客様や社会にスマイルを生み出す”スマイルメーカー“ではないかと。日々、世の中にスマイルを製造し発信していくのだ。

50を越えたオヤジが何をご無体な!という輩もおられるかもしれないが、自称“スマイルメーカー”を名乗ると決めた。昔は、会議に居るだけで空気が和むなぁ。有澤さんはムードメーカーだなぁ。と言われたこともあって、“ムードメーカー
 ”、というのも悪くないと思ったが、やっぱ胡散臭い、気分屋過ぎる、詐欺師っぽい(笑)。

という訳で、スマイルメーカー。世の中の笑顔をつくるために僕らは一生懸命、ありったけの知恵を絞って汗をかこうと思う。会社も
クリエイティブ発想で課題解決に挑むスマイルメーカーズの集団でありたい。

社員から「会社にほとんど居ないので、有澤さんと話せないし、何を考えているのかわからない」なんて言われ、「ブログでも書いて頭の中を見せてください」とも懇願されてしまったので、素直に始めることにしました(笑)。たいした頭の中身じゃないけどね。

 

社長のブログといえば、サイバーエージェント藤田晋さんの「渋谷で働く社長のブログ」がつとに有名で、当時、僕も真似して「渋谷で働くもう一人の社長のブログ」をやろうと思ったこともあったけどが、ようやく今頃、社員のおかげで腰を上げることができました。サンクス。

 

タイトルは「半跏思惟な日々」。半跏思惟って、わかります? 学校の教科書に載っていたでしょう。そう山川出版なら、必ず哉、です。中宮寺や広隆寺にある右足を曲げて左足に乗せて、右手を頬にあて考えるポーズで鎮座している仏像。あれを半跏思惟像というのです。(写真を載せておくね)。つまり、考えている仏像のこと。これにあやかって、僕の「考えているコト」や「考えているフリ」を書き連ねていこうと思います。

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